中段の間には、賀茂祭が画かれています。賀茂祭は、賀茂社(上賀茂神社・下鴨神社)の例祭で、現在は5月15日に行われていますが、古くは旧暦4月の中酉の日に行われました。平安京遷都後には、祭に奉仕する斎王が置かれ、弘仁10年(819)に勅祭となり、朝廷から厚く尊崇されました。古代には、祭といえば賀茂祭を指し、『源氏物語』や『枕草子』等の文学作品にも登場します。賀茂祭は、祭儀の中断と復興を繰り返し、今日の葵祭に続きます。「葵祭」の呼称は、祭の際に内裏御殿、賀茂社殿、勅使や供奉の者の衣冠、牛車を葵の葉で飾ったことから、江戸時代中頃より用いられました。