飛香舎は、皇后宮常御殿(こうごうぐうつねごてん)、若宮御殿(わかみやごてん)、姫宮御殿(ひめみやごてん)を含めた後宮の正殿としての機能を持った御殿です。その起源は平安宮内裏に遡(さかのぼ)り、中宮(ちゅうぐう)や女御(にょうご)の居所として使用され、特に入内の儀や藤花の宴などの宮廷儀式の舞台となったことで知られています。中世以降、その造営は途絶えましたが、江戸時代後期の寛政(かんせい)6年(1794)、光格(こうかく)天皇の皇后となる欣子(よしこ)内親王の入内(じゅだい)に際し、再興されました。